COLUMN

2020.03.16

幼稚園児の習い事!何を習わせたらいい?

自分の子どもが幼稚園に通い始める時期に、子どもの情緒教育の一環として何か習い事をさせたいと考えている親は少なくはないでしょう。ひとくちに習い事といっても、スポーツ、音楽、語学などさまざま種類があるのが、子ども向けの習い事の特色です。また、いくら親が自分の子どもにこの習い事をさせたいと思っていても、子どもにとって、その習い事が向いているかどうかという問題もあります。今回は、親として自分の子どもにどんな習い事をさせればいいのかなどについて紹介します。

幼稚園児とはどういう時期?


幼稚園に通う頃の子どもは、自意識が芽生える時期です。幼稚園という場所で同世代の子どもとの集団生活を送ることになり、遊びなどの交流を通して協力や競争など、他者との関わりをより学ぶことになります。それにより発達するのが子どもの社会性です。自身の心の成長とともに大勢との保育士や他の子どもたちとの交流によって、「大勢のなかの自分は何なのか」「どうやって振る舞えばいいのか」という初期段階の社会性が芽生えるのが、幼稚園の時期といえます。 この時期は、脳が急激に発達する時期です。人間の神経回路の約9割が、幼稚園の年長組である6歳くらいまでに完成するといわれています。神経回路のなかでも特に運動やバランス感覚をつかさどる神経が、急激に発達するのがこの時期なのです。さまざまな神経が発達することによって、幼稚園に入園する前にはできなかったさまざまな運動などが次々とできるようになります。そのため、幼稚園に通っている時期は、子どもの情緒教育において重要な時期なのです。

遊びの延長から始まる習い事


幼稚園に通う時期である4〜6歳の子どもは心身ともに発達途上です。社会的には、まだ何もできない子どもであり、この時期に何を吸収するかによって得意分野が飛躍的に伸びる年齢といえます。この時期の子どもに習い事をさせるのであれば、子ども本人がそのときに興味があるもの、楽しいと感じるものを習わせることが好ましいといえるでしょう。ここで重要なのが、大人が手本を見せてやり方を細かく教えることによって、大人の思い通りにやらせるのは、良くないといえます。 大人が子どもにやらせるのではなく、あくまで子ども自身が何かを感じ取って自分で身につけていくような習い事が適しているでしょう。この際、子どもの自主性に大人が付き合うことも大事といえます。大人による「強制型」ではなく「共有型」が、幼稚園児が行う習い事には重要なのです。また、強制型でない習い事は、子供達が普段やっている遊びの延長上と考えていいでしょう。 これが強制型になってしまうと、子どもにとって大人の社会における「仕事」と同様の考えになってしまい「やりたい・楽しみたい」という感覚が薄れて「やらなければいけない」と言う気持ちが強くなってしまいます。スポーツ系、芸術系や勉強系の習い事も幼稚園児自身が楽しみながら、もっと上達したいと思えるような習い事をしてもらうことが大事です。

「できる」を体験しやすいスイミング


幼稚園児の習い事の中でも特に多いのがスイミングです。スイミングスクールは全国で数多く運営され、冬でも室内の温水プールで行えるため季節に関係なく習えるのがメリットといえます。そして、スイミングスクールに通うために必要なのは水着と帽子です。習うために高額の必要教材などを買いそろえる必要がないため、費用的にも子どもにならわせやすいという点もメリットです。 スイミングは、全身運動なので適度に全身に筋肉がつき、有酸素運動のため呼吸器系も鍛えられます。最初は泳げないどころか水に顔をつけるさえ怖がる子どもでも、段階的に教えるため無理なく始められるのが特徴です。スイミングを始めると、「顔をつけられるようになる」「潜れるようになる」「5m泳げるようになる」など、最初は何もできなかった子どもが徐々にできることが増えていきます。子どもにとっても、自分が練習したことがどのような結果につながるのかが理解しやすいことも、スイミングが幼稚園児に向いている点です。 泳げるようになれば、いざというときに役に立ちます。川や海でおぼれそうになっても水のなかで泳ぐという経験をしていれば、子どもが自分で対処することができるのです。また、他のスポーツと比較した場合、水のなかであれば体をすりむいたり打撲、捻挫、骨折などの心配をする必要がほとんどないため、親も安心です。

音感も手先の動きも発達するピアノ


子どもが幼稚園に通う4〜6歳の時期は、神経回路が急激に発達することによって、手を使っての細かい作業が可能になります。それまでできなかった複雑な手の動きも徐々にできるようになっていく年齢なのが、幼稚園児なのです。そのような時期にふさわしい習い事がピアノといえます。ピアノは、両手の指を複雑に動かすことによって音を出す鍵盤楽器なので、習い事として開始すれば子ども自身も楽しんで習うことができるでしょう。 そして、幼稚園児という感性がまっさらな時期に楽器や音楽と触れ合うと、正しい音感やリズム感を身体に覚えさえることができます。ピアノを子どもに習わせる際に注意すべき点は、ピアノの演奏の上達だけにこだわってはいけないことです。幼稚園児の段階ではピアノの習い事は、あくまで音楽を楽しんでもらうことが最優先されます。 「いかに上手に演奏できているか」「今の演奏をマスターしたら次はどれくらいの演奏にチャレンジさせるか」と焦ってはいけません。演奏の技術向上よりも、「子どもが音楽を楽しんでいるかどうか」を注目する必要があります。また、ピアノという楽器は楽譜を見て両手の指と足を動かすという複数のことをこなし、その複数の動作を覚える記憶力も大事な要素です。幼稚園児のうちにピアノに慣れておけば記憶力も鍛えられるので、ピアノ以外のことにもおおいに役立つでしょう。

幅広い能力が身につくダンス


2012年から中学校の必須科目となったダンスは、幼稚園児の習い事にも適しています。ダンスは全身を動かして表現するものなので、全身運動かつ有酸素運動になります。あらゆる運動機能を発達させるため、身体も健康になり丈夫な身体の形成に役立つのが魅力です。ダンスとは音楽に合わせて身体を動かすので、音楽と動きがぴったりと合っていなくては成り立ちません。そのため、リズムを耳で聞くだけでなく身体で覚えなければいけないのでリズム感が身につきます。 ダンスはひとりだけで行うのではなく複数でやる場合もあります。一生懸命練習すれば、それだけできることが増えて達成感がありますが、複数で行う場合は自分ひとりの努力だけでは成立しません。自分以外の人間との連携が必要になり、それにより複数でひとつのものをつくりあげるという連体感・競争心が生まれます。全員で目標に向かって努力してそれが実現できるときの達成感も味わうことができるのが、ダンスという習い事なのです。 身体を動かすという健康面での影響、リズム感を養うという情緒教育だけでなく、仲間と協力して目標に向かって努力するという精神面にも良い影響を与える、バランスの良い習い事といえます。ダンスとひとくちにいっても、クラシカルバレエから、ジャズダンス、フラダンス、チアダンス、ヒップホップダンスなど多様な種類があります。どんな音楽ジャンルのダンスが良いかは子ども好みなので、子どもの趣味に合わせて習い事としてのダンスを選ばせましょう。

知的好奇心を刺激する幼児教室


子どもは、幼稚園児くらいの年齢になると、さまざまなものに対して好奇心を発揮するようになります。自分の知らないことややったことがないことに関心をしめす時期ですが、この時期の子どもは幼いため、当然、学ぼうという姿勢ではありません。文字や数字、物事のあらゆる法則を覚えることも楽しい遊びの延長上としてとらえているのです。したがって、学びの場である幼児教室に通わせても、学びという自覚がなく遊びの延長上としてすんなりと入っていけるケースが多いです。 すべての子どもがスムーズに幼児教室になじむわけではありません。幼児教室は、子どもが自発的に教室に通いたいと思うものではなく、どちらかというと親の希望で通わせる習い事です。「子どもの情緒教育に良いから」「今のうちから感性を磨かせたいから」というのが、親側の理由に挙げられます。しかし、すべての子どもが幼児教室に向いているわけでなく、なかには幼稚園児でありながら、まだそれほど知的好奇心が旺盛でない子どももいるかもしれません。好奇心が旺盛でない子に無理やり幼児教室に通わせると、子どもは子ども心ながらに「やらされている」感覚におちいり楽しく学べないケースがあります。そのため、親の気持ちだけで子どもに無理強いをさせてはいけません。

持久力や忍耐力が育つサッカー


競技人口の多いサッカーは、幼児から始めさせるのは遠慮してしまうという親もいることでしょう。サッカーは激しいスポーツでけがが多いイメージがあるため、「身体のできていない幼児がやるには危険なのでは?」というのが主な理由として挙げられます。サッカー教室の幼児の部は、主にボールを追いかけて走り回るのがメインで、本格的にサッカーという競技を行うわけではありません。 サッカーは単純なスポーツのように見えて、実は細かいルールが設定されているスポーツです。幼児に複雑なサッカーのルールや細かい技術を覚えてもらうのはほぼ不可能でしょう。そのため、最初はボールを追いかけて回してもらってサッカーという競技自体に慣れてもらうというのが、幼児がサッカー教室で行うことなのです。サッカーのボールやグラウンドに慣れながら、ルールは徐々に覚えてもらう方向で、体力や持久力、忍耐力を付けることがメインになります。いくつかの段階を踏むと、そのうちチームに分かれて対戦することも経験できます。それにより協調性なども学ぶことができるのです。

体幹が鍛えられる体操教室


体操教室で、指導の対象が幼稚園児も含まれている場合、幼稚園児には身体の発達具合に合わせた指導を行っています。サッカーなどは、ある程度のスペースがあればボールひとつだけでできるスポーツです。しかし、体操教室はマットや跳び箱、鉄棒などの器具を使用して行い、「転がる」「逆さまになる」「支える」「ぶら下がる」など日常生活ではなかなかできない経験ができることが特徴です。しかし、幼稚園児にいきなり高度で危険な技術を教えるわけではありません。幼稚園児には器械体操の基礎的な内容であるマット運動や平均台、鉄棒、跳び箱などを教えます。 これらの運動により、全身を上手にコントロールする力、バランス感覚を養い、体躯を鍛えることが可能です。鉄棒や跳び箱などは小学生の体育の授業でも行うので、小学校に入学する前にこれらの運動に慣れることがメリットでもあります。また、普段の生活では行わないマット運動などに慣れておくと、日常生活で転んだりつまづいたりするようなけがを減らすことにもなるのです。

英語を使って遊ぶ英語教室


幼稚園児は、好奇心が発達する時期なので自分の知らない言葉に敏感になります。それは日本語だけでなく英語でも同様です。そのため、幼稚園児のうちから英語教室に通えば、中学の義務教育で英語を学ぶ前から英語に慣れ親しみ、さまざまな英単語、文法を覚えることが可能です。幼稚園児が対象となっている英語教室は、いきなり英会話のようなハードルの高いことは要求しません。幼稚園児が英語教室で行うことは、英語を取り入れた歌やダンス、遊びなど、基本的に子どもたちが遊んで取り組めるようなものです。 子供達が英語に親しんでもらえるように遊びを通じて英語と触れ合えるようになっています。好奇心旺盛で吸収率の良い幼児の段階で、遊びを通じてネイティブな英語の発音に触れられることがメリットです。英語教室にもさまざまなタイプがありますが、子どもたちがもっと英語について知りたいと思う環境で習わせてあげることが大事といえるでしょう。

結果を焦って出そうとしないことが大事


幼稚園児である4〜6歳が行う習い事で大事なことは、子どもの体力や精神面の発達段階に合わせて楽しく習わせてあげることです。幼稚園児の習い事は、子どもの希望というより、親が子どもに多くのことを学んで欲しいという希望が込められています。したがって、親が過剰に子どもに習い事の成果を期待し過ぎてしまうこともあるのが、幼稚園児の習い事の特徴です。 習い事をするのは、また自意識が芽生えてきたばかりの幼児になります。そのため、習い事をしても親が過剰に望むような結果はなかなか出ないことがほとんどです。子どもがやっている習い事が本当に自分の子どもに向いているのかを見極めることも、親にとっては重要な仕事といえます。自分の子どもが本当に好きで続けられることは何なのかを把握して、できるだけ子供が楽しいと思える習い事をさせてあげましょう。