COLUMN

2020.04.01

6歳になると何ができる?最適な習い事を選ぼう

小学校への入学を控えた6歳は、幼児期に比べて心も体も大きく成長します。小学校へ上がるのを機に、習い事を始めさせたいと考える人もいるでしょう。しかし、6歳頃は自立心が芽生え、親に対して反抗的な態度を見せることも多い時期です。親が通わせたいからという理由で強引に習い事を始めると、通うのを拒否したり、長く続けられなかったりする可能性があります。そこで、6歳児の心と体の変化も踏まえつつ、6歳から始めるのに適した習い事を紹介します。

6歳は自立心が芽生える年齢

6歳は幼児期から児童期へと移り変わる年齢です。小学校入学前後ということもあり、このくらいの年齢になると身の回りのことは自分でできる能力が身についているでしょう。文字や数を覚えることに興味を覚え、友達の名前や看板に書かれた文字などを読んだり、字を書いたりする子どももいます。そのような姿を見ると、親としてはもっときちんと勉強させてあげたいと考えることもあるでしょう。しかし、6歳は自立心が芽生えてくる時期でもあるため、親がやらせたいと思うことを、すんなりと実行してくれるとは限りません。 児童期の子どもは幼児期の子どもよりも豊かで、複雑な感情を持っています。相手の気持ちを考えたり、自分より小さな子や動物をいたわったりできる一方で、友達や兄弟と自分を比較して、嫉妬や劣等感などの気持ちを抱くこともあるのです。さらに児童期は社会性を身につけていく時期でもあります。幼稚園から小学校へ上がることで人間関係や視野が広がり、家族以外との交流を通して、社会生活におけるルールを学んでいくのです。 社会生活の中で、子どもたちは自分がどんな人間なのかを考え始めます。さらに、自分だけでなく保護者についても別の角度から見られるようになるのです。すると、保護者の態度や意見に対して疑問に感じたり、批判したりすることが増えます。それまで素直だった子が、突然反抗的な態度をとるようになり、戸惑う保護者もいるでしょう。 以上の理由で、たとえ親が習い事をさせたいと思っても、なかなか言うことを聞いてくれないケースもあります。子どもを積極的に習い事へ向かわせるには、自分がやりたいことを、自主的にやっているという感覚を持たせることが重要です。児童期の反抗的な態度はイヤイヤ期とは違います。無理やり保護者の理想どおりにさせようとすると、子どもはますます反発します。実際は親がさせたい習い事でも、子ども自身が選んだと思わせることが、親も子も気持ちよく習い事を続けるコツです。

脳の9割が完成する時期

子どもの脳はおよそ妊娠2カ月目から作られ始め、3歳頃には基本的な構造がほぼ完成します。6歳までには大人の脳の9割ほどまで成長し、小学校を卒業する12歳頃にはほぼ完成するのです。6歳は急激に脳が発達する時期で、幼児期にはできなかった本格的な習い事にもついていけるようになります。脳の働きをよくするには、乳児期や幼児期の「育脳」は非常に重要です。ただし、絵本の読み聞かせやワークブックなど、できることは限られてしまいます。一方、6歳になると思考能力も身体能力も発達しているため、育脳の選択肢がさらに増えるでしょう。 6歳ならひらがなの読み書きもできる年齢です。さらに、ある程度複雑なストーリーの絵本や紙芝居も理解できます。また、6歳は社交性が発達する年齢でもあるため、公共のマナーを意識しながら、同じ習い事に通う子どもたちや先生と接することが可能です。家庭や学校以外のコミュニティに参加することで、子どもの視野や人間関係も広がるでしょう。知識や技術を身につけるだけでなく、社会生活を学ぶという点でも、習い事は役立ちます。ただし、習い事だけではなく、学校の友達と交流したり、遊びに出かけたりする時間も必要です。子どもの遊ぶ時間と習い事のバランスを考えながら、無理のないスケジュールを立てましょう。

運動能力の発達によりできることが増える

6歳になると脳だけでなく、体中の神経回路も完成し、より複雑な動きができるようになります。たとえばと競争やリレーのような走る競技だけでなく、跳び箱や竹馬などの機械体操や、縄跳びなどの用具を使った運動も可能です。また、ダンスや新体操のように、複雑な情報を処理しなければならないスポーツにも取り組めます。ダンスは耳で音楽を聴きながら手足を動かし、目で自分や周囲の人々の動きを確認するというように、複数の情報を処理しながら行う必要があります。そのため、身体能力が上がるだけでなく、情報処理能力や協調性の向上も期待できるのです。 また、一口にダンスといっても、バレエやジャズダンス、ヒップホップ、フラダンスやチアダンスなど、さまざまなジャンルがあります。子どもの好きな音楽や、興味を持ったダンスから、習い事を選んでみるのも良いでしょう。ただし、運動能力は個人差が大きく、中には運動が苦手な子どももいます。また、走るのは早いけれど縄跳びは苦手というように、運動の種類によって得意不得意が分かれるケースもあるでしょう。ただし、5~6歳は年長児である自覚や誇りが芽生え始める時期です。苦手な運動でもすぐには投げ出さず、意欲的に取り組む姿を見せてくれる場合もあります。

6歳児なら手先を器用に使える

スポーツに限らず、造形や絵画など、細かい手先の動きができるようになるのも6歳児の特徴です。たとえば、ハサミやホチキスなどの道具を正しく使ったり、紐を結んだり解いたりができるようになります。絵画による表現もより複雑になり、話を聞きながらその場面を描いたり、自転車や動物を観察しながら描いたりすることも可能です。さらに、四季の移り変わりを理解し、絵画に季節を取り入れるなどの情緒的な表現も見られます。また、文字や数字を理解できるので、習字教室に通わせることも可能です。知的好奇心の強い子どもなら、学校で習っていない漢字を自ら学習する場合もあるでしょう。 ただし、基本的に文字や数字は小学校から教えることになっています。本来であれは入学前に読み書きができなくても問題はありません。しかし、数字については読み方を知っていることを前提に学習は始まります。子どもがプレッシャーを感じたり、劣等感を覚えたりすることがないよう、ある程度教えておいたほうが安心です。文字についてはひらがなを一通り読めて、自分の名前だけ書ければ十分です。算数の授業に備えて、数字は最低でも10まで数えられたほうが良いでしょう。また、計算の問題が理解できるよう、足す、引く、ぜんぶといった言葉も教えてあげるべきです。

集団の中で役割分担ができる年齢

社会性が芽生え始める児童期は、集団行動を身につける時期でもあります。友だちと一緒に遊び、学習していく中で、役割分担や協力し合うことを学んでいくのです。ときには失敗したり、本来の目的から脱線したりすることもあるでしょう。しかし、友だちと話し合いながら試行錯誤する体験を重ねることで、より高度な社会性を身につけていくのです。たとえばサッカーや野球のようにチームで取り組むスポーツや、仲間と協力して1つの作品を作り上げるダンスのような習い事も始めやすいでしょう。 ダンスについては、1~2歳から始められるスクールもありますが、6歳からでも決して遅すぎるということはありません。むしろ、1~2歳まではリトミックのように親子で始められるものが中心で、本格的なダンスを習い始めるのは3~5歳からです。対象年齢以上ならいつでも始められるという点も、ダンスを習うメリットです。また、ダンスはスクール内で楽しむだけでなく、人前で発表する機会もあります。人前で堂々と踊ることで、協調性だけでなく度胸と表現力まで身につくのです。さらに、ダンスを披露することで見た人に楽しんでもらえたり、認めてもらったりという体験を重ねることで、自分に自信がつきます。

マナーやルールを守って行動できる

6歳児になると社会的なルールや公共のマナーを理解するだけでなく、それを守ったうえで行動できるようになります。挨拶をしたり、相手の目を見て話したりといった基本的なマナーだけでなく、スポーツの細かいルールや礼儀作法も理解できるようになるのです。そのため、スポーツ系や武道系の習い事を始めるにも向いています。こうしたルールやマナーが重視される習い事を始めることは、子どものしつけにもつながるでしょう。 子どものしつけは一朝一夕ではできません。しつけが日頃の生活に反映されるようになるには、長い時間と訓練が必要です。親としては小学校に上がる前に、ある程度のマナーを身につけさせておきたいでしょう。しかし、子どもにはそれぞれ得意なこともあれば不得意なこともあります、言われたことをすぐに実行できるとは限りません。とはいえ、細かいことをいちいち指摘してばかりいると、親も子どももうんざりしてしまいます。そこで、しつけをサポートしてくれるのが習い事です。習い事を通して知識や技術だけでなく、ルールを守る習慣も身につくでしょう。

論理的な思考を活かした習い事が可能

5~6歳は論理的な思考や認知力が発達する時期です。積み木を組み立てて図形を作ったり、図形がどのようにできているかを推理したりなど、論理的に考えられるようになります。また、2つの物質を比較して、大きいや小さい、長い、短いといった比較ができるようになる時期です。また、会話の中でも論理的な説明ができるようになります。個人差はあるものの、文脈を意識した会話ができるようになるのが4歳頃、説明能力が身についてくるのが5歳頃です。6歳になると知っていることや見聞きしたことをそのまま話すのではなく、筋道を立てて話したり、要約したりできるようになります。 論理的な思考能力を育てたいのであれば、この時期に将棋や囲碁、プログラミングなどの習い事を始めるのも良いでしょう。将棋や囲碁は相手がどのような手を打ってくるのか、そのときに自分はどのように動けばいいのかなど、常に一手先を考えなければいけません。駒の動きかたさえ覚えてしまえば、あとは実践するだけなので、初心者でも始めやすいです。プログラミングは一方的に与えられるだけではなく、自らプログラムを開発し、実際に使うことができます。自分で作ったゲームをプレゼンしたり、分からないことがあればチームで協力したりなど、表現力や協調性も身につく習い事です。自分の知識を生かすだけでなく、分からないことは「分からない」と主張し、周囲に助けを求める能力も備わるでしょう。

社交性が高まる時期を活かす

6歳になると、友だちや仲間と関わるうちに、自分と他者との違いを理解できるようになります。外見や生活環境などの違いをただ認識するだけでなく、尊重できるようになるのです。この時期に英語を習い始めれば、言葉をそのまま学習するだけでなく、文化の違いまで理解できるようになるでしょう。また、自己表現が上達する時期でもあるので、遊びながら学習するだけでなく、会話の手段として英語を使うことも可能です。 英語教室でのレッスンは、学校の英語の授業とは内容が異なります。塗り絵や工作をしたり、ジェスチャーを交えたりして、子どもが楽しみながら英語に触れられるような工夫をしています。また、2~4歳までの英語教室は、英語を耳に慣れさせる意味合いが強いのに対し、5~6歳の英語は言葉の意味まで理解し、定着させていくことを目的としています。この年齢の子どもが英語を理解するには、文章を読むよりも、単語を反復して練習したほうが効果的です。3000語ほど単語を知っていれば、英語の90%は理解できます。これはネイティブの6歳児と同じくらいの語彙レベルです。さらに、中学校や高等学校で習う単語を合わせれば、表現の幅はますます広がります。

幼児向けの習い事からの切り替え時期

習い事にはスポーツ系や勉強系、音楽系など、さまざまなジャンルがあります。しかし、2~4歳程度の幼児を対象としたレッスンは、子どもが楽しみながら学べるよう、遊びの要素を多く取り入れているのが特徴です。しかし、6歳になれば体力も思考能力もほぼ小学生に近づいています。ルールやマナーを守ったうえで、どのように行動するべきかを考えられるため、幼児期よりもワンランク上の習い事にシフトできます。もしも幼児期から続けている習い事があれば、5~6歳を目安に内容を見直してみましょう。

子供の個性や適性を見極めて習い事を選ぼう

6歳は子どもの自立心や社会性が育ち始めるとともに、個性や適性がはっきりと見えてくる時期です。習い事を選ぶときは、つい親の目線で「こんな習い事をさせたい」と考えてしまいがちです。しかし、せっかく習い事を始めても、子ども自身にやる気がなければ長続きはしません。基本的には子どものやりたいことを尊重しつつ、体力や性格も考慮したうえで、向いていると思われる習い事を選んであげましょう。