COLUMN

2020.03.27

4歳とはどういう時期?どんな習い事が向いているの?

4歳になると、保育園や幼稚園に通っている子が増え、保護者同士で習い事の話が出ることもあるかもしれません。同年代の周りの子が習い事に通っていると、我が子も習い事に通わせたいと思う人もいるでしょう。しかし、いざ習い事をさせるとなると、どんな習い事が向いているか悩んでしまうものです。まずは4歳児がどのような発達段階の時期なのかを知ったうえで、習い事を検討する必要があります。そこでこの記事では、4歳児の特性をもとに、どのような習い事をさせればよいのかについて解説します。

4歳児の発達段階は?


4歳児の発達段階を、体と心に分けてみていきましょう。4歳を過ぎると、歩く足取りがしっかりしてきて、全身のバランスをとる能力が発達してきます。そのため、スキップや片足跳びなど体の動きが巧みになるのです。それに伴い、活動的になるため、遊具遊びなど全身を使ったさまざまな遊びに挑戦するようになり、運動量も増えてきます。目安としては、マット上での前転や平均台を歩く、音楽に合わせて歩いたり走ったりスキップしたりといった運動が挙げられます。また、手先も器用になるため、はさみを使ったり紐を通して結んだりといった細かい作業も可能です。折り紙を折ったり、セロテープや糊を使ったりすることもできるようになります。 また、身近な自然環境へと興味が広がっていきます。砂や土、水、樹木、虫、草花などと積極的にかかわろうとするのです。自分の手足を使いさまざまな自然に触れ、その特性を知り、豊かに関わったり遊び方を体得したりします。さらに、自然環境とのかかわりの中で、色彩感覚や認識力を培っていくのです。 4歳児は、想像力が広がる時期でもあります。体験と絵本などの想像の世界を重ね合わせたり、生き物や物などにも心があると信じたりします。イメージを膨らませる中で、物語に浸ったり自分でお話を作ったりしながら、遊びを発展させるのです。同時に、不安や恐怖といった気持ちの経験をする時期でもあります。 また、葛藤の経験をしたり、自己主張と他者の受容をしたりし始めるのもこの時期です。自分と他人の区別がはっきりつくようになり、自我の形成に伴って見られているという自意識をもつようになります。そして、自分の思ったように物事が進まないけれど、自分の気持ちを通したいという気持ちの葛藤を経験するのです。この葛藤の気持ちを共感してもらったり、励ましてもらったりすることで、人の気持ちが理解できるようになります。 また、友達と一緒に過ごす楽しさや喜びを感じ、つながりを深めると同時に競争心も芽生えます。自分の主張を受容してもらったり、相手の主張を受容したりしながら、他者と協調して生活することを学び始めるのもこの時期なのです。こういった経験が、子供の自己肯定感や他者を受け入れる感情を育てていきます。

言葉の発達が進む時期


4歳児は言葉の発達が進む時期でもあります。語彙数が増え、日常会話が目に見えて上達していきます。現在過去未来を表す言葉を使うようになったり、理由を添えて話したりするのもこの時期からです。面白いと思った言葉をまねて覚え、使うようになるのもこの時期の特徴といえるでしょう。また、大きさや長さ、太さなど比較する言葉を理解して使えるようになります。過去の出来事や道順なども記憶できるようになるため、「前に行ったことがあるね」など過去の出来事について話せるようになるのです。相手の目を見て自分の気持ちを伝えたり、相手の話を聞いたりすることもできるようになります。

手先が器用になってくる時期


手先が成長して器用になってくるため、ペンの使い方が上達します。人間を意識して、手足や顔を描いたり、さまざまな色を使って塗ったり、かんたんな図形を描いたりすることも可能です。また、形から発展させて、家や車、電車などの絵を描けるようにもなります。ペンだけでなく、はさみの使い方も上手になってきます。正しい持ち方ではさみを使い、直径10cmほどの円であれば、意識して切り取ることが可能です。また、こま結びをするなど少し複雑な作業もできるようになります。

現在と自分中心から世界が広がる時期


この時期は「4歳の壁」ともいわれており、心が大きく成長する時期でもあります。これまでは、自分中心で現在のみしか見えていない世界でした。しかし、認知能力が発達することで過去や未来を想定したり、他者の気持ちを考え始めたりするのです。たとえば、これまでは「車が通ったよ」「ご飯がおいしいね」など自分が見たものや思ったこと、したこと、聞いたことを言葉にしていました。それが「これから公園に行こうよ」「今度おもちゃを買って」など未来のことを話すようになるのです。時間軸を理解したうえで、先の予測ができるようになった証です。 また、記憶力がアップするため、行った場所や体験したこと、通った道なども覚えておけるようになります。現在と過去との時間が区別できるようになったためで、過去のことを記憶して思い出し、言葉にするという過程ができるということなのです。自分と他人との違いが少しずつ分かってきて、過去はできなかったことが今はできる、未来はもっとできるようになるかもしれないということが理解できるようになってきます。しかし、発達が急速に進むため、変化に戸惑いを感じてしまう子もいます。その心の処理が上手くいかないと、泣いたり暴れたりぐずったりすることがあるのです。

子供が自主的に取り組める習い事がいい


4歳児は自分でできることが増え、自分でなんでもやりたいという気持ちが芽生える時期です。そのため、自らやりたいと感じ、夢中になれるのであれば、教えたことをどんどん吸収していきます。まずは、日常生活の中で子供が楽しいと感じることや興味をもてることを見つけ、習い事につなげていくとよいでしょう。たとえば、お絵かきやおもちゃのピアノ、走り回るなど子供が好きなことを観察し、そこから絵画教室やピアノ教室、サッカーなどの習い事を試しに体験させてあげます。 また、友達がやっている習い事を自分もやってみたいと言い出すこともあるでしょう。時間や金銭的に余裕があるのであれば、経験させてあげるのも一つの方法です。実際にやってみることで、子供にとってやりたいという気持ちを維持し、楽しく夢中で続けられるかを判断するのも遅くありません。

遊びの中からさまざまなことを学ぶ時期


4歳時は、遊びの中から他者とのかかわり方を学ぶ時期です。友だちと遊ぶ中で、おもちゃを貸してほしい、一緒に遊びたい、砂場で遊びたいなど自分の気持ちを相手に伝える必要があります。自分の気持ちを自分の言葉で伝え、相手の言葉もくみ取って遊ばなくてはならないのです。そのため、遊ぶ中で自分の気持ちを相手に伝える力がつくのです。さらに、大小かかわらず、衝突は必ず発生します。たとえば、積み木で遊んでいて自分がまだ遊びたいのに、相手に貸してほしいと頼まれるなどの場面です。このような場面で上手く対応したり、気持ちを切り替えたりと我慢する力も培われます。 また、社会生活を行ううえで必要なルールも学んでいます。4歳児が好む遊びには、かくれんぼや鬼ごっこ、ボール遊びなどルールが存在するものも少なくありません。遊ぶ中で、ルールを守るからこそ楽しく遊べるということを体感し、自然とルールを身につけていくのです。このように、遊びを通して他者とのかかわりやルールを学ぶことが、4歳という時期にはとても大切なことです。そのため、習い事にも遊びの要素が組み込まれていれば、始めやすく続けやすいといえるでしょう。 サッカーなどのスポーツを始め、音楽も英語も本格的に習得を目指して始めるよりも、その前段階という捉えのほうがおすすめです。遊びを通し、それぞれの習い事の基礎を身につけていくという考えで始めましょう。

体や手先を使う習い事の始めどき


ピアノなどの楽器の習い事は、スタートの時期として4歳児が適しています。たとえばピアノの場合、まずは保護者から離れて一人でピアノの前に座れることが必須です。1回のレッスンは平均30分なので、その間ずっと座っていなくてはなりません。楽譜を見ながら演奏したり、音を覚えたりするため、ひらがなや片仮名が読めるとよりスムーズにレッスンが進むでしょう。また、手の大きさや骨格に無理がないのが4歳以上とされています。ただし、すぐに楽譜を読みながら演奏するのではなく、手遊びをしたり、音を聞いたりして高低感などを培ったりしています。まねをしながら習得していく時期なので、歌ったり聞いたりしながら基礎を身につけていくのです。 また、スポーツ系の習い事もスタートの時期として向いています。運動能力に大きくかかわる神経系統は、5歳頃までに約80%まで成長し、12歳でほぼ100%完成します。そのため、神経系統が急激に発達する4歳の時期に運動することで、神経回路へ刺激を与えることが、運動能力の向上に役立つのです。この時期にたくさん体を動かす機会を与えておけば、運動能力の基礎が形成されます。遊びの延長として基礎が身についていれば、5歳、6歳と年齢が上がったときに、もう1段階、2段階上のことを教えられてもスムーズに受け入れることができます。

年齢に合う教え方をしてくれる教室を選ぶ


同じ習い事でも、教室のよって取り組み方や、目標とするレベルが異なります。将来プロにしたいという願望によって、専門性の高い教室にいきなり入れてしまいたくなるかもしれませんが、あまりおすすめできません。まずは、4歳児の興味を引き、楽しく教えてくれる先生や、4歳児に理解できるように教えてくれる教室を選ぶことが大切です。教室を探す際に、ホームページやパンフレットなどから情報を収集することが多いと思います。しかし、実際に教室に足を運んでレッスンの様子を見たり、子供に体験させたりすることで、納得して通わせることができます。子供向けの習い事は、体験レッスンを無料もしくは格安で実施している場合が多いため、積極的に利用するとよいでしょう。参加してみると、集めた情報からではわからなかった良さや、反対にイメージと違っていた部分などさまざまな発見があるはずです。 また、先生や講師との相性も大切です。子供との相性が悪ければ、大好きだった音楽が嫌いになってしまったり、習い事への意欲を失ってしまったりする可能性があります。先生や講師がどのような指導を行っているのかを、体験レッスンで確認しておくと安心です。4歳児が遊びを通してさまざまなことを身につけるなど、4歳児の特性を理解したうえで指導している教室を探しましょう。

子供の体力や集中力を考慮して習い事の時間や頻度を選ぶ


4歳児が集中できる時間は、あまり長くありません。大人の場合、15分の集中と休憩を繰り返し、最大でも90分間の持続が可能といわれています。しかし、子供は心身共に未熟なため、集中力の持続時間はさらに短くなり、年齢+1分しかもちません。つまり、4歳だと5分間ということになります。しかし、この時間はあくまでも目安であり、集中力が保てない子も少なくありません。特に、夕方以降の習い事の場合、日中の疲れや眠気で集中力がより続きにくくなる可能性があるのです。はじめは、30~60分未満の習い事を選び、子供の様子を見てみるとよいでしょう。しっかり集中できているようであれば、長時間の習い事へとシフトしてみるのも一つの方法です。 また、習い事に通う頻度も大切です。子供が興味をもったものは、すべて通わせたいと思うかもしれません。しかし、あれもこれも通わせてしまうと、平日は毎日習い事という状態になりかねません。その結果、4歳児にとって必要な自然環境と触れ合うなど日常の体験をする機会が取れなくなる可能性があるのです。また、どれも中途半端になってしまう可能性も否めません。子供の体力や生活環境を考えると、週に2~3回が限界といえるでしょう。複数の習い事に通わせるのであれば、文化系とスポーツ系といったように、ジャンルの異なる習い事を選択すると、子供の新たな興味を引き出せるかもしれません。子供にとって負担にならないような時間や頻度で習い事をさせることが大切です。

何が向いているかを探る時期と捉えることが大事


4歳の時点では、何が向いているのかはっきりしないことが多いです。そのため、子供が何に興味をもっており、どんなことなら集中して取り組むことができるのかを探るという位置づけで習い事を捉えるとよいでしょう。上手くできるかどうかで一喜一憂したり、なかなか上達しないことに保護者がイライラしたりするのはよくありません。子供のプレッシャーとなり、力を伸ばすことにはつながらないからです。子供と一緒に習い事を楽しむつもりで探してみましょう。